ゴルフ好きDINKSの週末は、
名門コースからの「銀座で鮨」が今の気分
銀座
すし佐竹
「妻と結婚した理由。
それは、趣味がゴルフと食だったこと。
初めて一緒にラウンドをしたとき、真剣な表情でプレーをする一方、笑顔で周りへの気配りを欠かさない、その姿に惚れた。
力みのない柔らかなスイングでティーショットを打ったあと、颯爽とフェアウェイを歩く姿も、その他大勢の腰掛け女子ゴルファーとは違いカッコよかった。
ゴルフに対する知識も経験も決してひけらかさないけれど、実は豊富であることも、ランチタイムの会話から想像できた。
当然、スコアも90台前半。いい勝負だった。
その日の帰り道。こんな人と共に歩めたら、お互いに刺激し合い、楽しい人生が送れるのではないか。そんなことを思ったことを覚えている。
そして、その通りになった。
平日はお互い仕事に忙しく、ゆっくりと向き合える時間が少ないぶん、週末のゴルフ&ディナーは2人の大切な時間。
最近は名門と呼ばれるコースでラウンドした後、話題の新店を予約するというのが定番コース。
今日予約したのは、前から気になっていた銀座の鮨店『すし佐竹』。
結婚2年目に購入した湾岸エリアのタワマンに車を置き、タクシーに乗って10分。
初めての店に行くときは、いつだって期待と不安が交互によぎる。特に鮨は銀座だけで600軒以上あると言われるぶん、新規開拓はかなりの冒険。だが、挑戦なくして進化はあり得ないのもゴルフと同じ。
いざ、深呼吸して扉を開けると、同世代とおぼしき店主が笑顔で出迎えてくれた。
お願いした¥12,000のコースのこの日の幕開けは、「ふぐのカワハギ肝ソースかけ」と「サワラの薫製」。
どちらも細やかな技が光り、口に運ぶたびに唸りたくなる美味しさ。思わず2人で目を合わせた。
丁寧な一品料理で、しっとりとお酒を楽しんだのもつかの間。そろそろメインの握りが始まる予感。だが、なぜか店主が用意し始めたのは、湯気が立ち上るおひつ。
怪訝な表情でこちらに視線を送ってくる妻に、静かにうなずき同意する。しかし、最初に差し出されたのは、熱々のシャリで握られた「まぐろ」だった!
半信半疑のまま、口へと運んだ瞬間…。思わず「アツッ!」と声が出たが、咀嚼を進める。するとシャリの熱が「まぐろ」のもつ脂をほどよく溶かし、見事なまでの一体感で溶けていく。
続いては、なんと「いわし」。一瞬意外と思うかもしれないが、その脂の乗りから計算し尽くされた順番なのだろうということは、丁寧な手さばきからも、見てとれる。
正統派の「江戸前」の流儀はしっかりと守りながら、挑戦することを恐れない。そんな同世代の店主の気概に心を打たれたのは、自分だけじゃなかったようだ。
店を去る間際、「次の予約、いつ入れる?」と妻。
まったく同じことを考えていた−−とシンクロした瞬間。改めて“この人でよかった”と思った。
すし佐竹
中央区銀座 8-18-16
03-6775-3878
ランチ:月曜~土曜 12:00~(L.O14:00)
ディナー:月曜~土曜 17:00~(L.O.22:00)
不定休
8席(個室なし)全席禁煙
2001年に創刊したグルメライフスタイル誌「東京カレンダー」。2017年から「東京コンプリート」をコンセプトに、東京の各エリアの上質な情報を発信する。2014年からスタートした「東京カレンダーWEB」は4,000万PVを達成。