ゴルフは、人と人とが繋がれる潤滑油、
一生もののスポーツです
トランジットジェネラルオフィス
代表取締役社長
中村貞裕
話題のスポットが登場すると、その裏には中村さんの影あり。というほど、その高いプロデュース力に定評のあるトランジットジェネラルオフィス。 中村さんの幅広い交友録も知られるところだが、最近ゴルフを始めて、いろいろと変化も感じているそうで。発信力の高い中村さんとゴルフの付き合い方とは?
Photo : Takeshi Wakabayashi
Text : Masashi Takamura
Edit : Rhino inc.
強制的に日取りを決めるのが、
デビューへの近道
始めたのは、3年前ということで、どちらかといえば遅咲きかと思いますが、伊勢丹にいらしたときも含めて誘われなかったのですか?
始めるまでは、本当にわかりやすいくらいゴルフに興味がなかったんですよ。まったくやろうなんて発想にもならなくて。 中村がゴルフをやる、なんてきっと誰も思わなかったでしょうね。誘われもしませんでしたから。ま、学生時代はふざけて打ちっ放しにはいきましたが、それまでって感じで。
それが、急に始めることに。
たまたま入った飲み会に集まった連中が、もう「ゴルフバカ」だらけで。話すうちに、コースデビューの日にちを強制的に決められてしまったんですよ(笑)。 その中にはレッスンコーチもいて、「うちで練習しましょう」ってあれよあれよとことが進んで。デビューまで3ヶ月の期間があったんですが、週3回レッスンです。 それでも少ないって言われましたけどね。結果、コースデビューしたところ、今思うとまぁまぁのスコアで、みんなからも褒められたのは気分もよかったですね。
3年続いている理由ってなんですか?
これが不思議なんです。書籍にも書いてますが、僕はミーハーなので、ある意味続かないのが「芸風」なんですけど、ゴルフは続いている。 一番はずっと誘われているということかもしれません。誘ったら来るので。いわば「誘われ力」ですね。 ゴルフ好きの人たちのネットワークってすごいじゃないですか。デビューするとすぐに「中村さん、ゴルフ始めたんだってよ」って一気に広まる。そうすると各所からお誘いを受けるんですよ。 僕はスケジュールに自由度を持たせているので、平日誘って対応できる。なかなかそんな人はいないんです。だから、皆さん誘いやすいのでしょう。僕自身は、人を誘うほうではないですし、性格にトゲがあるわけじゃない。 いい意味で、絶好のターゲットなんでしょうね。誘われる以上は、きちんと回れるように練習もしなければいけない。それで続いているのが現状ですね。 ラウンドは行くときは週1くらいで、寒かったり忙しかったりすると月1くらい。週1くらいは練習も欠かせませんね。
かなりハマっていますね。
ゴルフを通して仲間が増えて。誘われる機会も増えてくる。仲間とプレーできるというのも大きいですね。一人だと続かなかったと思います。ゴルフ以外でも、 その人たちと飲んだり、喋ったりする時間は楽しいですよね。年齢的にも、趣味のスポーツとしてもちょうどいいです。
スポーツとしての魅力はどこでしょう?
なかなかうまくならないところですね。少しでも練習をサボると落ちてしまう。僕がやっているほかのスポーツ、フットサルやスキーって、体力は別にして、 技術に関しては、今までの貯金でやれちゃうんですよね。でもゴルフはなぜか下手になる。これも続けなきゃというモチベーションになっているかもしれません。
TPOに合わせて3パターンの
コーデがあればいい
ただでさえ広い中村さんのネットワークはさらに広まりましたか?
今、一緒にゴルフをしている人の半分は、ゴルフがなければうまれなかった付き合いです。もう半分は、これまで付き合いがあった人。 ただ昔から面識はあってもそれほどではなかった仲だったとしても、ゴルフを通じてもっと深い関係にはなりました。
ゴルフが、中村さんにとってのビジネスツールとなることってありましたか?
ミーハーというのが、どうしても自分のキャラにあるので、ゴルフを始めてすぐに「トランジットカップ」というコンペを開催したんです。なんでも形から入るので(笑)。 そのカップ戦は、各界の社長たちも呼ぶので、僕自身もその方たちと深く繋がれますが、出場した人たちどうしが繋がってくれる。 また、その人たち同士でビジネスが生まれると、僕は「ありがとう」と言われるわけです。結構その頻度は高くて。 そう言われることは、お礼がいつか自分に返ってきますので、きっと(笑)。これはメリットだと思います。
人と人とを繋げていくのは、いつも盛り上がる中心にいらっしゃる中村さんらしいですね。
カップ戦は男女半々くらいで、トランジットと関係性のあるいろんなジャンルの方が参加します。リピーターが多いので、喜ばれている証拠かなとも思っています。
社内の人とは回りますか?
実は会社に、部活があって。ゴルフ部、サーフィン部、フットサル部、空手部とあるんです、僕は、空手以外に参加してまして。ゴルフは1日一緒にいるので、 コミュニケーションツールとしてもいいですよ。今、会社の人数も増えているなか、普段話すことができない店舗のスタッフたちと親交が深められるんです。
社外、社内と付き合いが広い中村さんが、ウェアで気遣う点はありますか?
最初は、私服をゴルフっぽくアレンジして着こなしをしていました。直球のゴルフウェアが少しハードルが高いように感じて。 それはそれで、中村くんっぽいとは言われていたんですが、3年やっていると、その中村くんぽさというのが、少し非常識かなという気持ちにもなってきて。 そのあたりから、ゴルフ目線で作られているセレクトショップのウェアや、ゴルフブランドのウェアも着こなしに取り入れています。 今気遣っているのは、回る人やコースによってコーデを変えるということですね。ファッション関係の人との付き合いもありますから、そういうときは、該当するブランドを取り入れたり、 先輩と行くときは少しかしこまったり、いただいたウェアがあれば着て行ったり、なるべく喜ばれるようにはしますね。
TPOを使いわけるということですね。
ちゃんとしたウェアは必要だと思います。いいゴルフ場に誘われて服がおかしいと怒られたりすることもあるんですよ。そのときほど悔しいことはなくて。 大人として「やっちまった感」がある。恥ずかしい思いをするのは自分なんでね。行く前にドレスコードとかをチェックしたほうがいいでしょうね。 女子からは、派手なもののほうがいいって言われますよ。始めた当初着ていた服は、私服系のネイビーとかカーキを着てましたけど。少し地味に思われるみたいです。 マスターバニーエディションや、同じメーカーのパーリーゲイツは、その意味で結構使えるブランドだと思っています。機能的にもいいですしね。 これから揃える人は、派手なのと、スポーティなのと、きちんとしたもの。この3パターンくらいを意識するといいかもしれませんね。TPOを踏まえて。みんなでカジュアルで行くのにキメキメで、結果スコアが120を超えちゃうと辛い(笑)。
今いちばん人に
すすめているのがゴルフ
今後、ゴルフとどのように付き合っていきたいですか?
リゾートでやれることが増えたのいうのも、ゴルフを始めたメリットなんです。旅行の目的をゴルフにすることもできそうですしね。だから、いつかは家族で、という目論見はあります。 今は子供が小学生なので、中学生くらいになったら、かな。ただ、今家族旅行のモードが、死ぬまでに行きたい場所みたいな、秘境めぐりになっていまして(笑)。 何年か経つと、そのブームも終わると思うので、ちょうどまたリゾートに戻ったら、みんないい感じに歳も重ねてね。家族と回りたいですね。 今は、ゴルフは僕だけがやっている趣味なので、休日をゴルフに使うと風当たりが強いんですよ。それを弱める意味でも、家族を巻き込むのが野望です(笑)。
最後にこれからゴルフを始めようという人に。
最初にも言いましたが、絶対にラウンドのデビュー日程を決めること。なかなか重い腰が上がらないので。始めたら、同じような実力の仲間と競い合うのもいいと思います。 僕も今、100前後のスコアという3人くらいで、競っています。切磋琢磨というと聞こえはいいですが、結局その仲間に負けると悔しいので。また、上手い先輩と回るのもおすすめです。 みんな優しいし、教えたがり。 ゴルフをやっている人みんなが言うと思いますが、本当にネットワークが広がるんです。やっぱり語れるからでしょうね。ゴルファーは、ゴルフ談義がめちゃくちゃ好きで、ほっておくと3時間は余裕で話せます(笑)。 そして、一生のスポーツですということ。問題はゴルフ場に行くと、本当に年配の人ばかりで未来は少々心配ですが。裏を返せばそれだけ長く楽しめるということでもあります。 だから今、僕は本当にみんなにゴルフをすすめているところ。そして、もう一つすすめているのが、ディズニー映画の「リメンバー・ミー」(笑)。この二つはしつこいくらいに言っていますね。どっちとも、すすめたときに、最初は難色を示される点も共通です(笑)。
中村貞裕|Sadahiro Nakamura
1971年生まれ。伊勢丹を独立し、2001年にトランジットジェネラルオフィスを設立。カフェやレストランなど、約90店舗を運営。 NYをはじめ世界で人気を集めるチョコレートブランド「MAX BRENNER」や台湾発世界一のかき氷「ICE MONSTER」、モダンギリシャレストラン 「THE APOLLO」などを日本に上陸させる。ほかにも、シェアオフィスやホテルなどのプロデュースを行い、話題に事欠かない。著書「ミーハー仕事術」 (ディスカバリー21)発売中。2017年「外食アワード」にて外食事業者部門を受賞。